最高裁判所第三小法廷 平成9年(オ)2075号 判決 2000年12月19日
上告人 河村節子
右訴訟代理人弁護士 筧宗憲
矢野弦次郎
中東孝
大西淳二
山樹浩一
藤本哲也
被上告人
池澤光枝
池澤博幸
宮本眞澄
右三名訴訟代理人弁護士 下山量平
正木靖子
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人筧宗憲、同矢野弦次郎、同中東孝、同大西淳二、同山樹浩一の上告理由第二について
所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして首肯するに足り、右事実関係の下においては、所論の点に関する原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はない。論旨は、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するか、又は原判決を正解せずにこれを論難するものにすぎず、採用することができない。
同第一について
原審の適法に確定した事実関係によれば、昭和三七年四月一〇日ころ、池澤武彦が本件土地の周辺土地を買い受けるとともに、当時農地であった本件土地を買い受け、その後、本件土地はその周辺土地と共に放置されて、遅くとも昭和五二年ころには現況が非農地(雑種地)となったというのである。右事実関係の下では、本件土地が非農地となるについて所論の事情があったとしても、そのことのみでは、本件土地の非農地化により本件売買契約が効力を生じ買主に本件土地の所有権が移転するとの判断を妨げるものとはいえず、これと同旨の原審の判断は、是認することができる。所論引用の各判例は、本件とは事案を異にし、右判断と異なる解釈を採るものとはいえない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 奥田昌道 裁判官 千種秀夫 裁判官 元原利文 裁判官 金谷利廣)